内分泌・代謝内科後期研修2年目の中野恵輔と申します。現在新潟大学医歯学総合病院で勤務させていただいております。多くの先生方に囲まれ、日々ご指導ご意見をいただきながら糖尿病・内分泌の患者さんを広く診察させていただいております。先生方に少しでも近づけるよう、日々精進していきたいと考えております。
昨年に引き続き、新型コロナウイルスの感染者数は再度増え続け、第6波の様相を呈しております。コロナウイルスに対する配慮が欠かせない日々が続いておりますが、皆様におかれましても健やかな毎日を送れることを願っております。
私事ですが、学生時代からの趣味としてプログラミングを嗜んでいます。最近は機械学習に興味を持ち、素人ではありますが少しずつ実装できる範囲を広げております。近年のcovid19の流行を憂慮し、今回はLSTM(Long Short Term Memory)という、過去の数値の推移から未来を予測する、時系列データ処理に適したモデルを使って予測をしてみたのでご紹介いたします。
厚生労働省にはオープンデータでcovid19陽性患者数データの推移が公開されており(URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.html)、今回はそちらを使用します。
[図1.covid19 PCR陽性者数の推移]
時系列のデータから、未来の5日間のcovid19陽性者数を予測したものは以下の通りです。
[図2.LSTMによる未来5日間の感染者推移の予測]
[図3.予測部分の拡大図]
今回はLSTMで予測をしてみましたが、今回の予測は過去の陽性者数の推移のみから未来の陽性者数を予測したものであり、PCRの件数、covid19の変異による感染力の変化、政策(海外からの入国の制限)などの要素を無視した簡易的なものであり、実測値との乖離はまだ大きいです。より厳密さを求めていくのであればそのあたりの要素を考慮に入れて改めて計算する必要があります。
こういった機械学習の技術は近年医学分野においても応用されており、持続インスリンポンプデバイスのミニメド770Gシステムに搭載された「スマートガードオートモード」は、患者さんの血糖推移からシステムが注入する基礎インスリン量を自動で調整することができます。これは糖尿病医学において大きなブレークスルーであり、人工膵臓として多くの患者さんのQOLを改善することが期待されております。
また、以前はSFの世界といわれていた量子コンピュータも実用化が進んでおり、これまでのコンピュータとは比較にならないほどの演算処理能力が身近なものとなりつつあります。今後の工学分野の医学における重要性はますます増していくことが予想され、日進月歩していく技術にわくわくしながら日々過ごしております。
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